大相撲弓取り式
2025年09月26日
若貴ブーム以来の大相撲人気らしい。久々の日本人横綱、大の里の誕生などで人気が沸騰し、昨年からチケットの完売、満員御礼が続いているという▼そんな中、秋場所初日の9月14日、テレビ中継で結びの一番の後にある弓取り式を見てびっくりした。羅漢児という力士が弓取り式をしていたが、紹介の字幕に「中津市出身」とあるではないか▼弓取り式とはいえ、郷土力士の姿をテレビで見るのは久しぶりだ。調べてみると、羅漢児は二所ノ関部屋、3段目の力士で21歳。大の里の付き人を務め、秋場所から弓取り式に抜擢されたという。8月の夏巡業から弓を振り始めたばかりだが堂々の弓さばき。長さ2㍍の弓を高速で回す場面では大きな拍手が起きていた▼羅漢寺は中津市本耶馬溪町にある曹洞宗の由緒ある寺。二所ノ関部屋の広報紙には「羅漢とは悟りを開いた尊敬に値する者との意味がある。四股名にはこれに近づけるようにという意味が込められ、まだその域に達していない修行中の身なので〝児〟が付いた」との説明があった▼千秋楽にも堂々の弓取り式を披露し喝采を浴びていた羅漢児。今場所は相撲も好成績で期待の若手だ。秋場所後に行われる大相撲ロンドン公演でも弓取り式の大役を務めるそうで、ロンドンっ子の人気者になるかもしれない▼当方がテレビに映った羅漢児に感激したのは、このところのテレビ中継でさっぱり県出身力士を見掛けなかったせいでもある。大分県は古くは69連勝の大横綱双葉山から、近年では千代大海、垣添、嘉風と名力士を輩出してきた。だが嘉風の引退から6年、ずっと幕内の郷土力士がおらず寂しい限りだ。現在、幕下の琴太豪(日田市出身)ら9人の郷土力士がいるが、早く1人でも幕内に上がって大分の大相撲ファンをわくわくさせてほしい。(政)