大分建設新聞

四方山

大きな忘れ物

2025年10月23日
 最近、記憶力の低下をひしひしと感じる。芸能人の顔は浮かんでも名前が出てこないなどは日常茶飯事。「あれ」とか「それ」とかを当たり前のように使っているが、聞く側には全く伝わっていないだろう。お酒を飲み過ぎて記憶がなくなる状態とは話が違う▼歌手の森山良子の歌に「Ale Ale Ale」という曲がある。「あれ、あれ」というその歌詞はまさに私たちと同年代の物忘れしやすい状態をうまく捉えており共感できる▼記憶力の低下は年齢だけでなく、生活習慣の影響が大きいそうだ。ストレスやスマホの使い過ぎ、睡眠不足、マルチタスク(ながら作業)などが原因に挙げられている▼中でも最近、問題視されているのがデジタル認知症だ。スマホなどを長時間使うことで脳の記憶機能が低下する現象。若い世代にも多く、心配されている現代病だ▼デジタル認知症の原因として、「覚えなくてもすぐに調べられるから大丈夫と脳が記憶をサボる」ことや、「情報量が多すぎて記憶が定着しない」「スマホ依存が脳を疲労させる」ことなどが挙げられている▼娘が低学年のころ、私の趣味サークルの練習に連れて行き、連れて帰るのを忘れかけたことがある。練習に熱中しすぎた結果で物忘れとは違うが、号泣しながら友人に連れられて来た娘の顔は今でも忘れられない。長嶋茂雄さんも息子一茂さんを球場に置いて帰ったというエピソードを聞いて親近感が湧いた▼〝うっかり忘れ〟の経験は誰にでもあると思うが、コンロの消し忘れや、財布の置き忘れなど、一大事につながる物忘れには何かの対策が必要だろう▼睡眠、運動、食事のバランスを心掛け、デジタルデトックスを意識する―。これだけでも記憶力の回復が期待できるとか。秋の夜長はスマホに頼らず「読書の秋」を堪能してみよう。(望)
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