特別巡回ラジオ体操
2025年10月24日
大分川の河川敷で毎朝6時半からやっているラジオ体操会に夫婦で参加している。先日のこと、会場で初めて見かける70歳代くらいのご夫婦がいた。「おはようございます。初めてですね」と声を掛けると、「はい。福井県から来ました」と言う▼まさか!ラジオ体操のためにわざわざ来たわけではあるまい。旅行のついでかな、と思って聞いてみてびっくり。ラジオ体操のためにはるばる福井から来ていたのである。実はこのご夫婦、「巡回ラジオ体操のマニア」と言ってもいいくらいの方だった▼夏休みなどに全国各地の会場で行われる巡回ラジオ体操〇〇会場は、その模様が全国にラジオで生放送される。その地域の〝早起きさん〟はもちろん、全国から体操好きの常連が訪れるという。ご夫婦はその翌日に竹田市であった特別巡回ラジオ体操・竹田会場に参加するため来県していたのだ▼ラジオ体操は1928(昭和3)年に昭和天皇即位を記念して国民保険体操として制定され、30年代からラジオの普及とともに地域に浸透した。夏休みに子どもたちが早起きして体操する習慣もこの頃から始まったという▼戦時中は国民精神の高揚に国策として利用されたり、戦後はGHQが「全体主義的だ」として禁止するなど、時代の荒波を受けてきた歴史もある。70数年前に現在のラジオ体操第1、第2ができ今に至る▼さてそのご夫婦だが、ホテルへの帰り道が同じ方向だったため、当方の自宅前まで一緒に歩いて別れた。そしてその1週間後、丁寧な礼状と、スマホで一緒に撮った写真が郵送で届いた。「勝手にグーグル検索して住所を調べました。ご夫婦で体操を続けているのを励みに私たちもがんばります」とあった。ラジオ体操を愛し、全国を回って生きがいにしている殊勝な夫婦に脱帽した。(マサ)




