大分建設新聞

四方山

働いて働いて

2025年12月05日
 「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」。4回も5回も繰り返す必要があったのかどうかは知らないが、どうも好きになれないこのフレーズと「女性首相」が今年の新語・流行語大賞に決まった。高い支持率だとはいえ、結果を出す前にいろんな物議も醸している首相だけに、国民受けするこの大賞にはさぞご満悦のことだろう▼このフレーズを聞いて思い出したのが、1989年(平成元)年の流行語大賞になった「24時間戦えますか」。ドリンク剤「リゲイン」のCMソングだった。「黄色と~黒は勇気のしるし~♪24時間戦えますか…」。テレビで毎日流れたこの歌は「欧米に追いつき追い越せ」を合言葉に発展する日本がバブル経済絶頂期を迎え、バリバリ働くことが美徳だった時代を象徴する歌だった▼そしてさらに時代をさかのぼれば、「月月火水木金金」という軍歌もあった。太平洋戦争中の海軍の歌で、休日などなく働く海の男の艦隊勤務を歌った歌である。「朝だ夜明けだ潮の息吹…海の男だ艦隊勤務~月月火水木金金♪」。威勢のいいリズムと歌詞で、戦後もカラオケなどでよく歌われてきた。題名の通り土・日曜がなく、休日返上で働くことの慣用句として戦後も用いられた▼「24時間…」も「月月火水…」も当時の世相を反映した歌であり、良し悪しは別として、時代にマッチしたフレーズだったといえる。翻ってこの令和の時代である。過労死が敬遠され、ゆとりのある働き方改革が叫ばれる中で「働いて、働いて…」はどう考えてもそぐわない。首相は「長時間労働、働き過ぎを奨励する意図はない」と釈明しているが、首相の言葉だから忖度したのだろうか。流行もしておらず時代に合わない〝迷セリフ〟に流行語大賞を贈った選考委員にカツ!である。(マサ)
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