佐賀関の大規模火災
2025年12月09日
大分市佐賀関田中地区の大規模火災発生から3週間が経った。田中地区から数百㍍離れた地区に妻の実家がある。今年7月、実家に住む元漁師の義父が亡くなった。豪快で愛嬌のある義父だったので知人や友人が多かった。田中地区にも多くの友人が居たはず。生きていれば真っ先に駆け付けただろう▼報道にあるように、火災が起きた田中地区のほか、漁港近くの住宅は密集して建っている。隣家との隙間は狭く、駐車場がつくれないので住民の自家用車は港に面した駐車場に停められている▼住宅と住宅の間には、細い生活道が張り巡らされ、同じような風景が多いため道を一本間違えると、違う場所に着いてしまうこともある。漁師町の路地裏が好きな人にはたまらない風景だ▼私も子どもと一緒に田中地区をはじめ、路地裏をよく散歩した。生活の息吹がすぐ側で感じられ、盆期間には異世界に迷い込んでしまったかのような雰囲気が好きだった。また、道路沿いで談笑するおばあちゃん、囲碁や将棋をするおっちゃんたちなど、漁師町名物の姿も見ることができた▼火災発生時、私も妻の実家への飛び火を警戒しに行きたかったが、現場近くの知人から大渋滞なので実家にたどり着けないだろうと言われたので、状況を見守るしかなかった。8日正午時点で、避難所の佐賀関市民センターには、54世帯76人が避難している。5日から市営住宅への入居受付が始まり、生活再建への道筋も見えてきた▼火災現場へも足を運んだが、焼野原を見て言葉を失った。私の好きな街並みはなくなり、柱しかない家、2階の部屋だけが焼けた家などがあった。避難所などで家を失った友人らを励まし、将棋を打つ亡き義父を思い浮かべながら、佐賀関に住む身として復興へ協力していきたい。がんばれ佐賀関!(せい)




