玉来ダムが最高賞受賞
2025年12月11日
私が玉来ダムの取材に初めて入ったのは2017年9月5日。竹田市炭竈に当時あった玉来ダム建設工事事務所での取材だった。作業所長は大成・菅・友岡JVの福原八重二さん。取材は地元民による工事事務所への要望で、竹田水害緊急治水ダム建設委員会の丹統治会長、同委員で竹田商工会議所副会頭だった㈱高山組の高山茂明社長らが事務所を訪れ、福原所長に要望書を手渡した▼要望は、数年にわたる工事で竹田市に作業員が滞在するその経済的効果に期待し、「工事関係者のみなさん。お買い物は地元の店で」とアピールするものだった。要望書には食料品店やスーパー、衣料品店、クリーニング店、理・美容院のほか居酒屋、スナックなど多く店が名を連ねていたのを懐かしく思い出す▼過去4回の阿蘇山噴火によって堆積した火砕流の地質に建設を始めた玉来ダムは、国内最大級の造成アバットメント工法で脆弱軟質層にも対応。5年の歳月をかけて22年に完成した。洪水時以外は水をためない治水専用の流水型ダム。堤高は52㍍、堤頂長は145㍍、集水面積は87平方㌔で大分県境に接する熊本県産山村、阿蘇市の一部に及ぶ▼ダム完成以前の竹田市は、1982(昭和57)年、90(平成2)年、2012(平成24)年にいずれも7月の豪雨による稲葉川の氾濫などで死者も出していた。「竹田市民への安全・安心の提供」を第一に建設された玉来ダムは、まさに竹田市民の命を守る砦の存在である▼同ダムの建設事業は24年に日建連の第5回土木賞受賞、22年に土木学会技術賞を受賞。そして今年10月には第10回アジア土木技術会議AWARDプロジェクト賞において最高賞受賞の栄誉に輝いた。県内初となる受賞、誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。(かぼ)




