大分建設新聞

四方山

ノリ、カキに異変

2025年12月12日
 ノリが大好きで、有明海・佐賀の産地から毎年取り寄せている。裕福ではない家庭に育ったせいか、ノリにはぜいたく品のイメージがある。大人になって、高級なノリをほかほかのご飯に乗せて好きに食べられる幸せを味わっている。パリッとした歯切れ、口に広がる磯のうま味。冬、一番獲りの逸品は特にうまい。ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養も満点である▼有明海のノリ養殖の歴史は古く、品質で群を抜いてきた。ところがその有明ノリに大異変が起きている。3年ほど前から、50年に1度といわれる記録的な不作に見舞われている。温暖化で海水温が下がらず、少雨による海水の栄養不足もあり、色落ちなどが続いている。ただ、今冬の出来は昨年よりもいいらしく、復活を祈ってる▼そしてこちらも海の異変である。これからうまい季節を迎えるカキ。栄養満点で「海のミルク」と呼ばれる。全国一の生産量を誇る広島県の一部海域で8~9割が大量死し、出荷できない状態が続いているという。こちらも海水温の上昇が影響したらしく、他の瀬戸内海の産地でも確認されている。広島県内だけでも300億円の影響で、全国の飲食、観光業にも影響する恐れがある▼一方、中津干潟で養殖しているブランドカキ「ひがた美人」。やはり海水温の変化などによる生育不良で生産量が激減していたが今年は3年ぶりの豊漁で、こちらは朗報である。養殖の種苗を転換するなど、生産者が知恵を絞り環境変化に打ち勝った事例だ▼地球環境の激変で食料の収穫、生産に大きな異変が起きている。人類は昔からその変化に対応した技術を駆使し、食料を確保して生き延びてきた。だが近年の変化は過去とは比べ物にならないほどに目まぐるしく、倍速で技術革新を続けていかねばならない時代になっている。(マサ)
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