大分建設新聞

四方山

仕様変更

2025年12月17日
 19世紀半ばに現在の形になったとされる野球だが、最初から9回制だったわけではない。草創期のルールでは、先に21点を取った方が勝ちというものだった。乱打戦になればいいが、そうでなければ試合はいつまでも続く。体力が尽きるのが先か、日没が先か。そんな選手たちの嘆きを背景に、9回制が定まったのは1857年のこと。相応の時間がかかった▼その野球で今、「7回制」が議論されている。高野連の検討会議は、2028年から硬式・軟式の全公式戦で7回制を導入するよう提言した。猛暑対策という切実な理由である。しかし、高野連理事会は即断せず、審議継続を選んだ。勝負の設計図を変えるにはなお熟議が必要と判断したからだ▼定着したルールを変えるには時間を要する。球児たちは9回を想定し、練習を重ねている。それが7回ともなれば戦術もがらりと変わることは容易に想像がつく。仮の話だが、私たちの業界で突然、図面の仕様が変更されたら、それこそ大混乱であろう。合意形成に手間を惜しむわけにはいかない▼国会では、衆院議員の定数削減が大きな論点になっている。自民・維新の両党は衆院定数を1割削減するための法案を臨時国会に提出。議論がないまままとめられた法案に、野党側は猛反発し継続審議となった。自民党内にも慎重論が多いとされる法案は、連立パートナーの維新に突き上げられて急造の感が否めない代物だ▼維新は「身を切る改革」と勇ましいが、そもそも国民から突きつけられた課題は、政治とカネの問題に端を発した政治献金の改革だったはずなのに、定数削減にすり替わった格好である。折しも維新の2人の国会議員が政治資金からキャバクラに支出していた問題が報じられた。定数を論ずる前に、自らの襟を正すのが先ではあるまいか。(熊)
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