大分建設新聞

四方山

有権者

2026年01月26日
 これは不可抗力だろう。一昨年、大分空港側の発着所で、訓練中のホーバークラフトが発した風にあおられた運航会社の社員が転倒して負傷した事故。県警は業務上過失傷害の容疑で船長を書類送検していたが、大分地検は不起訴処分にした。さすがに船に取り付けられたプロペラが発する風量は予測不能と判断したのかもしれぬ▼自然界の風ともなればなおさらのよう。普通の船であれば追い風はありがたいはずなのに、船体が浮いているがゆえに制御しづらくなるという。横風を受ければ、船首を斜めに向ける「クラブ走行」と呼ばれる航法で、カニが横歩きするように目的地へ向かうという▼さて、永田町に吹き荒れる風は、熟練の船長でも読み切れぬ乱気流の様相だ。いよいよ超短期決戦と呼ばれる衆院選の公示である。だが、その海図は前回の衆院選とは激変した。四半世紀にわたって自民党という巨大船を安定させてきた「公明」というバランサーが外れ、あろうことか激しく対立していた立憲民主と合流した。結成された新党の名は「中道改革連合」▼聞こえはいいが、「中道」を名乗りながら何を「改革」するのか想像しづらい。所詮は生き残りのための「選挙互助会」という声も聞かれる。肝心の船体はいかにもにわか仕立て。烈風に耐えうるのか心もとない。自民党も事情は同じだ。高市早苗政権の高支持率を背景に、解散総選挙に臨むわけだが、手堅い公明票を失ったいま、確たる勝算はあるのだろうか▼ホーバーは横風を計算して進路を保つが、今の永田町の政治状況は風に流され、迷走の度合いを深めているようにも見える。バランサーを失った船か、旧型船をつなぎ合わせた急造船か。混沌とした視界の中で、どの船に未来を託すのか。船を動かす風を吹かすのは、私たち有権者である。(熊)
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