大分建設新聞

四方山

四端の教え

2026年01月28日
 米国から、「アスリート界のスーパースターへの滑走路」が大分の地に敷設される一歩となるか。テニスの錦織圭選手らを輩出したアスリート養成機関「IMGアカデミー」の幹部らが、大分スポーツ公園などを視察したという。今春には豊後大野市で、世界を視野に入れた選手の発掘イベントも予定され、世界最高峰の育成システムがこの地に根付くかもしれぬ▼だが、いかに立派な環境が整おうとも、最終的に人を動かし、育てるのは、一人一人の内面に宿る精神力であり、心であろう。その本質を問い続けてきたのが、先ごろ野球殿堂入りを果たした栗山英樹氏である。WBCで侍ジャパンを世界一へ導き、あの二刀流・大谷翔平選手を覚醒させた名将である▼指導者としての輝かしい実績とは裏腹に、現役時代は苦労続きだった。ドラフト外のテスト生として入団し、現役生活は7年。失意の日々だった。その栗山氏がなぜ、名将になれたのか。栗山氏の著書を読むと、苦労の中で培った「人間に寄せる確信」が選手の心に刺さり、才能を引き出したようだ▼栗山氏の根幹にあるのは、儒教の教えである「四端」である。人を思いやる「惻隠」、悪を恥じる「羞悪」、譲り合う「辞譲」、善悪を判断する「是非」の四つの心の状態を指す。人は生まれながらに四端を持つが、余裕がないと消えてしまうという。逆に四端を心がければ、平常心は獲得できる、と栗山氏は説く▼簡単に言えば、他者を尊ぶ心であろう。SNS上だけでなく、現実の世界でも誹謗中傷、罵詈雑言が飛び交う時代の中、栗山氏の語る「四端の教え」は、現代人がどこかに置いてきてしまった大切なことを気付かせてくれる。最強の環境に、四端の精神が宿った時、ここ大分から第二の大谷翔平が羽ばたく日が訪れるのかもしれない。(熊)
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