福は~内、鬼は~内
2026年02月02日
「春隣(はるとなり)」は、ちょうど2月初めの今ごろ、冬の終わりに春への期待感を表す季語。まだ寒い日が続いているが、暦の上で4日は立春、春はすぐそこまで来ている。そして明日3日は冬と春との季節の分かれ目の節分。古来、季節の変わり目には災いや邪気が忍び込むとされてきたが、現代人も何かと体調を崩しがち。こうした災いを鬼と一緒に追い払ってしまおうというのが、平安時代にルーツのある節分豆まきの風習だ▼豆まきはその面白さもあり、現代も広く受け継がれている。鬼の面を家族が交代でかぶり、「福は~内、鬼は~外」の声が各家庭に響きわたる。この時期ばかりは豆の売れ行きもグンと上がる。最近は豆まきしても衛生的に食べられる小分け・個包装のものや、鬼のお面付きのセット商品が人気だという▼ところで「福は~内、鬼も~内」の奇妙な掛け声で豆まきをする地域があるのをご存じだろうか。群馬県藤岡市鬼石地区には全国でも唯一、節分の豆まきで追い出された全国の鬼たちに「おいでおいで」と呼び掛ける「鬼恋節分祭」がある▼昔、山に住む鬼が人里に降りてきては畑を荒らし人々に危害を加えていた。困った村人は旅の途中で立ち寄った弘法大使に鬼退治を懇願。読経し護摩をたくと鬼は大きな石を投げ捨てて逃げ去った。その石の落ちた場所が鬼石地区で、石は神社のご神体として信仰を集めている―という▼鬼といえば国東半島の寺に伝わる国の重要無形民俗文化財「修正鬼会」がある。「鬼は仏の化身」であり「良い鬼」として厚く信仰されており、何かつながるものがありそうだ。日本の各地には風変りな祭りや風習があるが、その土地の歴史や自然、先人の思いを感じることのできる貴重な遺産として、ずっと後世に残してほしいものである。(マサ)



