スイッチ
2026年02月26日
特別国会が始まった。衆院選での〝高市旋風〟により、国会の風景は激変した。衆院の議場は与党が4分の3以上を占めるなか、高市早苗首相は、施政方針演説で「とにかく成長のスイッチを、押して押して押しまくってまいります」と、自信たっぷりに連呼して見せた。「数は力」であることを熟知していればこそであろう▼「大胆に政権運営に当たってまいる」とも語った。確かにその通りと思わせたのが自民党人事である。裏金問題で処分を受けた旧安倍派「5人衆」から、西村康稔氏を選挙対策委員長に、松野博一氏を組織運動本部長に起用。萩生田光一氏も幹事長代行に留めるなど、激減した野党勢力を見透かすかのように「復権人事」を断行した▼その裏で高市氏がもう一つ、密かに目論んでいた「一手」があったと報じられた。実力者、麻生太郎副総裁への衆院議長就任の要請である。議長は「三権の長」としての名誉はあるが、慣例により会派を離脱、派閥からも距離を置く。いわば「一丁上がり」のポストだ。要は、党執行部から遠ざける狙いがあった、と見られる▼鎌倉時代、朝廷はまだ若い三代将軍、源実朝に、破格の官位を授けた。その重さで自滅させる「官打ち」と呼ばれる呪術だったとされる。もちろん現代政治は呪術では動かない。だが、役職が名誉に見えた瞬間、それは「拘束」となる。悟っているかのように、麻生氏は「任にあらず。引き続き党副総裁を務める」と拒絶したという▼麻生派は、衆院選を経て新人ら18人が加わり、一気に60人規模へと膨れ上がった。その麻生氏は、高市氏が悲願とする「食料品消費税の2年間ゼロ」施策については慎重とされる。手ごわい敵は野党ではなさそうな気配も漂う。スイッチも「押しまくる」だけでは、火花を散らすことになりそうだ。(熊)


