大分建設新聞

四方山

現代の海賊

2026年03月04日
 「大航海時代」と呼ばれた15世紀半ばから17世紀半ばにかけて、スペイン、ポルトガルといった当時の列強は、大西洋、そして太平洋で覇権を競った。跋扈したのが海賊たちだった。中でも大航海時代、時の国王から「私掠免許」を与えられ、敵国の商船を襲った海賊たちがいた。国家が直接手を下さずに相手の富を奪った▼今の時代、デジタル空間の大洋で、わが物顔なのがハッカーたちであろう。現代の海賊たちの背後にも、時に国家の影が見え隠れする。政府機関のシステムに忍び込み機密情報にアクセスするだけではない。企業のシステムに侵入し、顧客情報などを暗号化し、データの復元と引き換えに「身代金」を要求する。まさに海賊である▼本県を代表する老舗百貨店、トキハを襲った災難は、サイバー攻撃が対岸の火事ではないことを知らしめ、その被害の大きさも衝撃的だった。2月25日に発表された決算は、最終利益が約54億円の赤字、約27億円の債務超過という過酷なものとなった。サイバー攻撃の影響を織り込んだ特別損失が、屋台骨を大きく揺さぶったのである▼日本を代表する大手企業も次々と被害を受けている。アサヒグループホールディングス、アスクル…。だが表面化しているのは氷山の一角らしい。身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」の被害に関する警察庁のまとめでは、2024年には222件起きている。このうち全体の約63%に当たる140件が中小企業の被害だった▼近年、攻撃者は防御の手薄な企業を機械的に探し侵入する傾向が顕著だという。「うちは小さいから狙われない」という思い込みは通用しない。そうした油断が、攻撃者の思うつぼなのだろう。攻撃を前提に備える。ハッカーへの備えはコストではない。事業継続の保険であろう。(熊)
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