大分建設新聞

四方山

2026年03月25日
 別府市で物価高対策として用意した「おこめ券」約1万枚、450万円相当が消えた問題で、市は関係職員6人を懲戒処分にした。発行元に返還するため金庫から出した券を段ボール箱に入れたまま失念。不要書類と一緒に廃棄してしまったという。何ともお粗末な一件である▼同じ「廃棄」でも、こちらはやりきれない。福島県いわき市で震災15年に当たる3月11日、中学校5校の卒業祝い給食に用意された赤飯約2100食が全て捨てられた。「震災の日に赤飯はおかしい」と1本の電話が学校に入り、教育委員会が即座に提供中止を決めたという▼今年の卒業生は、まさに震災の年に生まれた子どもたちである。赤飯の代わりに生徒へ配られたのは防災倉庫の缶詰パンだったという。一生に一度の門出を祝うはずの赤飯が、追悼の日だからとごみになった。せめて捨てるのではなく、持ち帰らせるなど、追悼と門出の両方に配慮する智恵はなかったのか▼大分市では別の「切り捨て」が進む。大分バスが4月1日から市内72路線で年間4・9%の減便に踏み切る。JR大分駅前発の最終便についても、一部で最大1時間繰り上げられる。通勤、通学、通院、買い物の足を頼る市民にとって、1本減る重みは小さくない。そのまま暮らしの幅を削る。大分に限った話ではない。全国的に路線バスが危機に直面しているという▼利用者の減少と運転手不足の影響である。全国の路線バスの乗客はこの30年で約58億人から約38億人に減少。廃止路線は年間2500㌔に迫る。路線は地図上一本の線であっても、暮らしをつなぐライフラインでもある。おこめ券も赤飯も金で償える。しかし地域の足が一度途絶えれば、暮らしそのものが立ち行かなくなる。線を減らす社会は、やがて人のつながりまで減便してしまう。(熊)
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