桜と命
2026年03月30日
すっかり春めいてきた。咲き誇っていたハクモクレンが少しずつ散っている。主役のサクラは、24日に大分市での開花宣言があった。満開は31日~4月3日ごろで、花見のピークは今週から来週にかけてだろうか▼東京では大分より5日も早く開花し、すでに満開を過ぎようとしている。「なぜ暖かい九州より関東のほうがサクラの開花が早いの?」という素朴な疑問をお持ちの方もいるのではなかろうか。その理由の一つがサクラ(特にソメイヨシノ)開花の条件である「休眠打破」という現象。サクラの開花は暖かいだけではダメで、①冬にしっかり冷え込み②その後に気温が上がる―という2段階が必要。関東地方は冬が寒い一方で3月になると晴天が多く急に気温が上がる傾向があり、開花が早いのだという▼さてこの時季、満開のサクラ、そして散っていく花を見てふっと思い出す句がある。「散る桜 残る桜も 散る桜」。江戸時代の僧・良寛の辞世の句とされる。どんなに美しく咲いている桜(命)もいつかは必ず散る(死ぬ)―ということから、命のはかなさ、今をしっかり生きることの大切さを示している▼太平洋戦争末期には特攻隊員が「遅かれ早かれ散る命、特攻して死んでいくのは本望だ」と、その覚悟を示すために好んで使った句でもある。この国で80年前、20歳前後の若者4000人以上が特攻隊員として命を散らした▼その中には「桜花」と名付けられた兵器もあった。1㌧爆弾を抱え人間が操縦して敵艦に体当たりする小型のロケット特攻機で「人間爆弾」と呼ばれた。サクラの花を特攻兵器の名前にして若者を死に追いやった時代の恐ろしさ。純粋な気持ちで散った若者たち、生きていたら100歳になる方々の魂に改めて黙とうを捧げ、花見のできる平和をかみ締めたい。(マサ)

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