大分建設新聞

四方山

スーパーボランティア尾畠さん

2026年04月20日
 やはり、あの人は京都へ行っていた。86歳の男性は4月初め、1週間分の食料と水を軽ワゴン車に積んで650㌔の一般道をひた走った。捜索に使うノコギリ、ロープなども積んだ。右目の視力がほぼないハンディも気にならなかった。京都府で行方不明になっていた男児(11)を捜すため、居てもたってもいられなかった。「あの人なら見つけてくれるかも」と期待した大分県民は多かったはずだ▼あの人とはスーパーボランティア・尾畠春夫さん(86)=日出町=である。現場近くの県境に着くと交番を訪ねた。応対した警察官が「スーパーボランティアのオバタさんでは?」と言った。「私はスーパーでもコンビニでもない。ただのボランティアです」と真顔で答えた。警察官から「申し訳ないが一般の方は捜索には加われない」といわれ、やむなく大分に引き返した▼尾畠さんといえば、8年前、山口県の山中で行方不明になり大捜索でも見つからなかった2歳の男児を発見・保護して一躍、時の人になった。それをきっかけに東日本大震災の被災地などで長年続けてきた地道な支援活動がクローズアップされた。豊富な経験・知識に裏打ちされた活動からスーパーボランティアの異名が付いた▼京都の事件では「きっと生きている」と、ずっと男児の生存を信じていた。だが男児は遺体で見つかり父親の犯行と判明。尾畠さんは「残念です。かわいそうです」と悔しそうに語った▼明日21日はこの人の念願だった夜間中学への入学だ。男児を捜すため軽自動車で京都まで行った人だが、大分市まで通うにはガソリン代がかかり過ぎるからと、夜道をオートバイで通うという。月5万5千円の年金生活。人のためには労やおカネを惜しまず、自分は徹底した節約生活を送る。稀有なスーパー老人である。(マサ)
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