大分建設新聞

四方山

やっちまった

2026年04月20日
 りくりゅう、感動をありがとう―。フィギュアスケートのペア、三浦璃来、木原龍一組が引退を表明した。2月のミラノ・コルティナ五輪で日本勢初の金メダルに輝き、列島を沸かせたペアである。実は、ともに満身創痍だったという。2人はSNSにこう書き記した。「やりきったという気持ちでいっぱい」。絶頂期に身を引くその潔さが清々しい▼こちらは「やっちまった」というべきか。自民党大会で現職の陸上自衛隊員が制服姿で登壇し、国歌を歌った一件である。隊員は「陸上自衛隊が誇るソプラノ歌手」と紹介された。現役の自衛隊員が政党の大会で歌うのは極めて異例のことだ。自衛隊法61条は隊員の政治的行為を厳しく制限している。にもかかわらず、防衛省の担当者は事前の問い合わせに「問題ない」と回答し、大臣には報告すら上がっていなかった▼小泉進次郎防衛相は当日、この隊員との記念写真をXに投稿し、後にこっそり削除していた。「情報が上がっていれば別の判断もあり得た」と釈明したが、自ら記念写真を投稿していたのだから、説得力を欠く▼高市早苗首相は「法律的に問題はない」としたが、木原稔官房長官が「反省すべきだ」と述べてようやく火消しに回った。「私人」として参加したというが、制服を着て肩書付きで紹介されてどこが私人なのか。自衛隊は国民全体のためにある。決して一政党の私兵ではないはずである▼折しも、政府が国会に提出した予算関連資料に計41カ所の誤りがあったと報じられた。防衛省のミスが11件で最多だったという。自民は国会で圧倒的多数を誇り、政権運営にも余裕を見せる。だが、数の力に酔うと、手続きは雑になり、緊張感は緩む。隊員を党大会の演出に使い、国の安全保障政策に直結する予算資料のミス。同根ではあるまいか。(熊)
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