味の記憶
2026年04月27日
駆け出しのサツ回り(警察担当)記者のころ、大分署(現大分中央署)の近くにあった「中央東華」のラーメンを記者室でよく食べた。店はずっと以前になくなったが、そこで働いていた人が味を受け継いでいる店を最近探し当て、40数年ぶりにラーメンを食べた。中華そばと呼ぶべきか、大分には珍しい鶏がら?のあっさりスープ。新米記者だった当時の事がふーっと思い浮かんでジーンときた▼味の記憶というものは奥深い。遠い昔の出来事や風景が鮮やかによみがえることがある。大分市のトキハ前辺りに6年前まであった「ふない焼き」が府内町の一角で復活し話題になっている。ふない焼きは2004年ごろ、市内中央町の商店街の店で、当時の店主が「大分名物に」と考案した。回転焼と同じような丸い小麦粉生地の中にチーズなどの具材を入れたおやつ。タコ、うずら、チーズの3種類を1個100円ほどで販売し、学校帰りの中高生が列をつくっていた▼しかし20年7月に突然閉店。同市出身のタレント指原莉乃さんらがSNSに別れを惜しむ声を投稿するなどして大きな反響をよんだ。その後、復活を試みる動きはあったが実現しなかった▼それをこのほど、高校時代の放課後に通ってファンだった料理人男性(36)が復活させた。店は当時の中高生だった人たちが「懐かしい」と連日、行列をつくる人気だ。復刻版はタコ、うずら、チーズを一つに詰め込み300円(高校生以下250円)。「チーズがとろけておいしい」「青春の味です」といった声が聞かれるという▼味の記憶は単なる舌での感覚だけではない。何十年も前の出来事や懐かしい人たちの顔と重なって、タイムマシンのように当時に連れ戻してくれる。自分だけの懐かしい味の記憶をたくさん持っている人は幸せ者だと思う。(マサ)

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