メッキ
2026年09月02日
福岡県議会の「ドン」と呼ばれた実力者が議員辞職に追い込まれた。一連の醜聞で浮かび上がったのは、議長職を巡る金銭疑惑だけでない。県議の豪勢な海外視察の実態も明るみに出た。朝日新聞によると、2023年以降23件、費用は計2億6496万円。議長はフランスで1泊約17万円のホテルとあっては、王侯貴族も顔負けである。負担が税金であることを思えば、福岡県民の心中、いかばかりか▼だが、本県も無縁とはいかないようだ。大分県議会は今年、8年ぶりに海外視察を復活させた。県議22人が3班に分かれてフランス、スイス、ドイツへ。費用は約3400万円。単純計算で1人約155万円になる。子育て支援や障害者福祉などを調査したという。どれも大切な県政課題である▼海外でしか得られない知見はあろう。百聞は一見にしかず、である。ただし、その「一見」に3400万円の価値があったかは、帰国してからが勝負だ。折しも市民団体が22人全員の報告書と、県民向けの報告会を求めた。「物見遊山ではないと明らかにしてほしい」。もっともだ。政策にどう結びつくのかを示してこその視察である▼その県議会と言えば、昨年11月、議員バッジを従来の18金製から金メッキ製へ変更することを決めた。2023年は1個2万1395円だったが、金価格の高騰で9万円台に。金メッキならば1万円前後で済むことから、議会改革の一環として取り決めた。据え置けば約300万円が余計にかかるところだったという▼あっぱれな倹約精神を発揮した県議会だが、欧州視察はケタが一つ違う。バッジは金メッキで十分でも、視察の成果まで「メッキ」とはいくまい。3400万円分の成果が本物なのか、県民の暮らしをどう照らすのか。胸元よりも、こちらを光らせてもらいたい。(熊)


