大分建設新聞

四方山

鍋料理と火の用心

2026年09月08日
 猛暑の夏もどこへやら、日の入りが早くなり過ごしやすくなってきた。鍋料理のおいしい季節である。ひと口に鍋料理といっても幅広い。水炊き、すき焼き、おでん、もつ鍋、キムチ鍋…洋風にトマトやチーズを使った鍋料理もある。大分県人なら、だんご汁だろうという声も。宇佐のすっぽん鍋や臼杵のふぐ鍋はちょいと手が出にくいかもしれないが▼私はもっぱら自宅でできる純和風の簡単鍋を好む。鍋にだし昆布を敷いて水を張ったら、小説家・池波正太郎にならって大根とアサリなどの小鍋立て。おいしい豆腐があればシンプルな湯豆腐で十分(佐伯市直川の佐脇商店の豆腐がウマい)。気が向けば山形の芋煮、仙台のせり鍋もオツである▼どんな鍋料理にするか決まったら、次はお酒の支度である。もちろん日本酒か焼酎に限る。近年、私は芋、麦、米などの本格焼酎を愛飲しており、黒ぢょかに水で割った焼酎を入れて直火で燗をする。前割りならぬ「水割り燗」だ。日本酒気分の時は火鉢に炭火をおこし、徳利かチロリ(酒器)でぬるく燗をつける。酒が料理を引き立て、料理で酒が進む。考えるだけで、うーむ、たまらん▼落語「二番煎じ」では火の用心をふれて回る旦那衆が、集まった番小屋でイノシシ鍋と熱燗で暖を取り始める。そこに突然役人が現れて、仕方なく煎じ薬と偽った熱燗と口直しの鍋料理を提供させられる。酒好きの役人は熱燗がもっと欲しくなり「二番を煎じて参れ」というのがサゲ。落語好きなら古今亭志ん朝の名演が目に浮かぶだろう▼こよい、どんな鍋料理にするか考えると、日の短さも逆におあつらえ向きとなる。早く仕事を片付けて家路を急ぎたくもなろうもの。あなたはどんな鍋料理にしますか。ただし火鉢やガスコンロを使うなら、火の用心もお忘れなく。(コデ)
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