大分建設新聞

四方山

入れ墨

2026年09月11日
 時々行く小さな銭湯で奇妙な体験をした。先客がいて、湯気にかすんだ後ろ姿が脱衣所から見えた。短髪のその男性、なんと派手なシャツを着たまま体をゴシゴシ洗っているではないか。「変わった人がいるのものだ」と目を疑ったが、よく見るとシャツに見えたのは立派な〝スミ〟だった。しかもちょっと怖そうでホンモノっぽいお兄さん。目を合わせないようにそっと湯船に漬かって早々に上がった▼「入れ墨」は日本の伝統的な和彫りで、「タトゥー」は洋風デザインのものを指すらしいが、基本的には同じ。かつて入れ墨は裏社会の人たちの〝定番〟だったが、今やタトゥーが若者の間で人気のようだ。海外のアスリートやK―POPスターの影響からか、日本人のタトゥー人口は今や100万人以上とか。10年前から倍増しているという。歌手のあいみょんら芸能人のほか、マラソン日本新記録保持者の大迫傑選手まで、多くの有名人が堂々と見せている。施術に医師免許などの規制はなく、若者の間では自己表現やおしゃれとして捉えられている▼だが日本の社会ではまだまだ「入れ墨・タトゥー=反社会勢力」という旧来の価値観が根強い。以前、新聞の投書欄に県内の女性(69)が「娘の夫(ドイツ人)が育児休暇で来日し、風呂に行くと断られ、子どもと行ったプールではガムテープを貼るように言われた」などと、偏見の根強さに憤慨していた▼今や日本でもファッションや自己表現として捉える寛容さが必要なのかもしれない。一方で、針で皮膚の下に注入するインクで、アレルギー反応や腫れが出たり細菌による感染症など、健康・衛生面での懸念を指摘する医師もいる。タトゥーに憧れている若者の皆さん。こうした医師の声、そして施術時の痛みも頭に入れておきましょう。(マサ)
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