大分建設新聞

四方山

中央と地方の壁

 
2026年09月16日
 「オールドメディア」。このところ新聞やテレビは、そんな言葉でひとくくりにされ、何かとたたかれている。だが、ネットなどを飛び交う〝情報〟をたどれば、新聞社や通信社など既存メディアの取材に行き着くものも少なくない。誰かが現場を歩き、裏を取り、責任を負って世に出したニュースが、姿を変えてネットを駆け巡っている▼そんな報道業界の最高の栄誉とされる、今年の新聞協会賞が決まった。わが郷土の大分合同新聞は、危険運転致死傷罪の不備を追及した長期キャンペーンと、佐賀関大火の写真報道でエントリー。2作品とも激戦の第1次選考を突破する堂々たる健闘ぶりだったが、惜しくも栄冠には届かなかった▼今年の結果には、ちょっとした「異変」があった。受賞6作品のうち、新聞社による4作品は西日本など地方紙が占め、ほかは共同通信とNHKだった。全国紙の受賞ゼロは異例という。地方を深く掘れば、民主主義、人権といった普遍的な問題に行き着く。報道の世界では、「中央発が上、地方発が下」という古い物差しが崩れつつある▼ところが賃金となると、中央と地方の壁はなお厚い。2025年の平均月額賃金は東京と青森で15万4400円もの差があり、2007年以降で最大となった。26年度の最低賃金も全国加重平均1177円に対し、大分は1096円。61円上がっても81円の差が残る。賃金を上げなければ、働き手はより高い賃金を求めて都市へ流れる▼とはいえ、中小企業に「もっと払え」と迫るだけでは、会社そのものが立ち行かない。価格転嫁を進め、生産性を高め、地域企業を支える。そうした環境まで整えてこそ、持続的な賃上げになる。ニュースの価値に「地方割引」はない。働く人の1時間も、地方だから安くて当然という時代ではあるまい。(熊)
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